パセリともみの木
この時季ヨーロッパでは色とりどりの野花が開花し、その眺めはわたしたちの心に安らぎを与えてくれます。そんな野花の時季にご紹介したい1冊の絵本があります。
『 パセリともみの木 ルドウイッヒ・ベーメルマンス / ふしみ みさお*訳 』
オーストリア生まれの作家ベーメルマンス氏(1898−1962)は16歳で単身アメリカへ。自室の壁やカーテンに、故郷チロルの山々の景色を描いていたのが、編集者の目に留まり、初めての絵本「山のクリスマス」(岩波書店)をつくる。・・・とプロフィールにあります。
「パセリともみの木」の13ページにも真っ赤に色づいた夕焼けが山々を染めている風景が描かれていますがページをめくった瞬間、わたしも我がふる里の山々を想い胸が熱くなりました。どの国、どの時代の人も故郷を偲ぶ氣持ちは同じです。
そしてこの絵本は右側に絵、左側には文章、その文章の左下には毎ページかわいらしい野花の挿絵が添えられているという構成になっています。本を読み終えるまでには46種類もの野花が紹介されています。まず1ページ目には「ナズナ」、12ページには「スミレ」、24ページには「野生パセリ」、36ページには「のいちご」、40ページには「オニアザミ」など46種類のうちわたしが知っている野花と言えばほんのわずか...... 時々足を運んでいる自然公園では今年この絵本のお陰でより一層楽しい散歩ができそうです。
そしてこんな素敵な絵本を紹介してくださったのは昨年の6月にTemps de douceur にお越しいただいたこの本の翻訳者の 『 伏見 操 』 さんです。笑顔がとってもチャーミングで素敵な方。
操さんから翻訳に関して「大好きな訳者の岸本佐知子さんが言っていたけれど、 作者はあるイメージを見ていて、それを文章で描こうとする、 訳者はそのイメージを、作家といっしょに見て、それを別の言語で描くと言っていました。 わたしもそうしたいと思って、訳しています。」とお話してくださいました。
操さんはこれまで本当にたくさんの絵本を日本の方達に紹介してくださっています。今は自身のエッセイ本や絵本の制作に取り組んでおられるそうですが、日本とヨーロッパの架け橋として今後も増々ご活躍をされますように、わたくしもファンの一人として陰ながら応援しております。そして執筆中のエッセイ本を手にする日を心待ちにしています。
伏見 操さんのインタビュー記事はこちら。
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